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  • 2014.08.26 Tuesday

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CAPSS(キャップス)

造語の説明:


CAPSSとは、「Computer Assisted Problem Solving System」のことです。名前の通り解釈しますと、いかにも人工知能型(人工知能のエンジンを積んだもの)のシステムに聞こえますが、全く逆でして、人工無能型のシステム(電子紙芝居式システム)です。


このシステムの設計思想は、コンピュータが問題解決をしている人間を支援するもので、GPS(General Problem Solver)のように、コンピュータが問題を自動的に解決するのではありません。コンピュータは、あくまでも問題解決者の思考を刺激するであろう情報(PSOI:Problem Solving Oriented Information と名付けた情報)を提供するだけのものでした。


PSOIとしては、2種類考えました。まず、問題事態に関わる情報で、直接情報とします。例えば、問題現場の写真、問題事態の報告書、解決のための企画書、現場の見取り図、地図、組織図、装置の設計図、運構図、連絡網など、俗に関係書類と言われるものです。


もう1つは、間接情報とします。例えば、視座リスト、視点リスト、価値観リスト、頭字集、ある種の諺などの情報です。これらの情報は、問題か帰結者たちの思考を刺激するための情報で、これをメタヒントと考えました。


私は、問題解決過程において、メタヒントの役割を重視しました。そして、システム開発者がCAPSSにメタヒントを格納しておき、問題解決者が必要に応じて画面に映し出し、それを見て解決のヒントにして、問題を解決することを考えました。これは、TCS(テレ・コーディネーター・システム)のアイデアを下敷きにしています。


視座リスト、視点リスト、価値観リストなどは、一種の「思考刺激情報」として活用する仕組みを想定してきましたが、問題解決の場での使い方は次のようになっています。実際に問題が与えられたり、あるいは問題を見つけ出したり、問題事態に直面したりした場合、まずその問題そのものの検討から始めます。


どんな立場からその問題を見るかですが、立場である視座をいろいろと「視座リスト」から拾い挙げて行きます。問題提起者、問題解決者、問題発見者、問題当事者、コンサルタント、上司、同僚、部下、顧客、監督者、サービスマン、営業マン、加害者、被害者、第三者、記録者、報告者、管理者など、多数に上ります。


問題や問題事態のどこに目を付けるかですが、着眼点や注目点である視点をいろいろと「視点リスト」から拾い挙げて行きます。ただし、「視点リスト」は問題が関わる分野(カテゴリーとか、フィールドとか、ジャンルとか、ターゲット・エリアとか言います)で異なります。


例えば、問題が社内のコンピュータ・システムという分野であるとしますと、システムの維持と管理、システムの保守と体制、システムの機能、システムの構築、システムのトラブル、システムのコスト、システムの利用、システムの信頼性、システムの計画、システムの要員と教育、システムのネット化など、多数の視点が検討のために列挙します。


続いて価値観も検討の対象になります。価値観リストから、多くの価値観を選び出して、1つ1つ検討を加えて行きます。価値観は、企業体質によっても、企業の規模によっても、企業の現場によっても、大きく異なることもあります。だから、価値観リストから、必要なものを選び出して、1つ1つ検討するのです。



造った理由:


TCSのアイデアの段階ですが、当初、コーディネーター役は、研究室の指導教員である私が務めましたが、学生たちは目の前にいる私に遠慮したり、言葉を無理に選んだりして、のびのびとした思考ができなかったので、このTCSを思いついたのです。


やがてTCSを用いて、コーディネーターがメタヒントである思考刺激情報を、的確にかつタイミングよく学生たちに送信し、プロブレム・ソルバーの役割を果たしている学生たちの思考を刺激することは、実行可能であると確信しました。


コーディネーターがいない場合どうするか、この問題の解決がCAPSSへのアイデアと繋がったのでした。CAPSSのまたの名をCAMSSと言いますが、CAMSSとは、「Computer Assisted Metahint Serving System」のことです。CAPSSという名称より、このCAMSSの方が、実態的には正しい表現であったと、現時点では考えています。


何度も言いますが、このシステムは、自動的に問題解決をしてくれないタイプのもの(人工無能システム)でありました。狙いは、人間の脳であるHBC(ヒューマン・ブレイン・コンピュータ)を、最大限に活用することを狙ったものでした。



エピソード:

このようなコンピュータ・システムを構築するに当たって、研究室ではTCS(Tele Coordinator System)のアイデアと実験と実用化があり、その試作・運用を行ないました。このTCSについては、既に紹介しましたね。


TCSの説明をもう少し追加します。普通、問題解決のための検討会やブレーンストーミングなどの場(以下、簡単に「場」とします)には、参加者の自由な発想を尊重するために、上司や指導者の立場でなく、助言者(アドバイザーとかナビゲーター)や調整役(コーディネーター)などが必要であることが多いと思われます。


有能なコーディネーターは、どうしても仕事が多く、問題解決の現場にいないことも多々あります。そこで、コーディネーター役の人の代わりに、こうした「場」で、CAPSSを利用してもらうことを考えました。


問題解決者たちに、CAPSSからの情報(メタヒント)を視聴してもらい、必要を感じたら、メタヒントをCAPSSに要求して、画面でそれを見ながら、自分たちの思考を自らの意思で刺激するのです。


PSOIには、文字情報もあれば、数値情報もあれば、図的情報もあれば、写真情報もあれば、動画情報もあります。当時のパソコンの機能から、動画情報は装置の制限上実現していませんでした。VTRもまだまだ高価で、しかもオープンリールの時代でありましたので、パソコンと連結できませんでした。


こんな機能の低いCAPSSでありましたが、共同研究者の竹嶋徳明氏(当時、S化学会社に勤務、故人)と、物流基地(物流センター)の最適設置場所をテーマとして試用しました。


「日本全土のどこに物流センターを設置するか」のテーマでスタートしたのですが、「センターを設置しなければならないか」のテーマの方を、まず解決するべきだという結論になったことを思い出しています。問題解決には、問題分析が必要であり、さらにその背景の分析も必要であることを悟ったのです。



公表文献:

情報処理的問題解決過程の研究(1)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第10号、1974年(昭和49年)。

情報処理的問題解決過程の研究(2)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第11号、1975年(昭和50年)。

Managerial Decision Making Using CAPSS, TIMS 22  International
Conference 1975年、京都。

情報処理的問題解決過程の研究(3)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第12号、1976年(昭和51年)。

Computer Assisted Problem Solving System (CAPSS)、情報処理
学会誌、18巻、2号、1977年。

Managerial Decision Making Tool CAPSS, Proc. of IFIP Congress. ’77.
1977年,CANADA。
 
情報処理的問題解決過程の研究(4)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第13号、1977年(昭和52年)。

情報処理的問題解決過程の研究(5)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第11号、1978年(昭和53年)。



 

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講師のご紹介 【向塾】

大和 可也
(やまと かや)

1944年生まれ。高知県出身。
早稲田大学文学部卒。
教育プロデューサー。

大学卒業後1969年〜1987年 (株)学習研究社勤務。 独立後、メディアプロデューサーとして活躍。
その後、大学講座演出、プロデュースを手掛ける。

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相澤 将之
(あいざわ まさゆき)

1942年生まれ。東京都出身。
法政大学経営学部卒。
元東京リコー社長。

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石桁 正士
(いしけた ただし)

1936年生まれ。和歌山県出身。
和歌山大学学芸学部(現教育学部)卒業。(教育学士)
大阪市立大学大学院工学研究科修了。(工学博士)

京都大学、大阪大学を経て1970年に大阪電気通信大学助教授に就任。その後教授を経て2007年名誉教授となる。
やる気研究会の主宰や情報教育学研究会(IEC)の発起人として活躍し、現在大阪電気通信大学の客員研究員として教育の研究に従事。

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