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  • 2014.08.26 Tuesday

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PROC(プロトコル・コレクター)

造語の説明:

PROCとは、Protocol Collector System のことです。そもそもプロトコルとは、自分の思考過程を述べたり、自分の思考過程を解説したりする時の言語記録のことです。もちろん、実験などでは、多くの人(被験者)のプロトコルを採取する必要も出てきます。


一般に、プロトコルとは、主として言語による記録である「言語プロトコル」を指しますが、行動の記録である「行動プロトコル」というのもあります。このプロトコルを記録し易いように、パソコンを用いてシステムにしたものが「PROC」です。


情報心理学研究室という看板を掲げていた石桁研究室は、コンピュータから生み出された情報を、人間がどのように受け取り、それをどのように理解し、どのように感じ、どのように活用するか、どのように記憶するかなどを研究テーマにしていましたので、研究遂行上、どうしても多くのプロトコルが必要だったのです。


PROCは、当時、大阪電気通信大学の大学院生であった徐 壮志君(現在、昭栄薬品蟠侈魁砲設計し、実現してくれました。基本は、プロトコルを口で言ってくれる人(被験者と言います)の思考を刺激するために、予め用意した映像情報(PROCに内臓させてあるもの)を映し出しながら、被験者のプロトコルをワープロで打ち込んでもらう仕組みとなっていました。


映像情報として、2種類のものを用意しました。静止画と動画です。静止画では、被験者がそれを見て、何に注目したか、画面のどこを見たか、見て何を感じたか、何を連想したか、それらをどう表現したかなど、質問しながら(質問もPROCに内臓してある)プロトコルを言って(書いて=入力して)貰いました。動画も静止画とほぼ同じですが、動き方とか、画面のつながり方とか、画像の捉え方(カメラ・アングル)などが、プロトコルに反映されました。


被験者がPROCに、直接、ワープロ打ちをする場合と、補助者がいて、その人が打ち込む場合とがあります。私たちは、このシステムに、「PROC(Protocol Collector System)」と名付けて、活用したのです。




造った理由:

情報心理を研究する場合、いくつかの手法があります。その代表的なものが、人々からプロトコルを集め、分析し、分析結果から法則性を見つけたり、原理を推測したりする方法です。


最も集め易いのが、学生たちのプロトコルでした。卒業研究生、教職課程の受講生、ゼミ生などは、よく協力してくれました。集め難いのが、企業に勤める方々のプロトコルでしたが、何とか手蔓を使って、協力者をお願いしました。


その当時、プロトコルの集め方は、まず聞き取り調査をさせていただき、その音声をカセット・テープ・レコーダーに録音します。それを大学に持ち帰って、再生しながら「文字起し」をするのです。わずか2−3時間の聞き取りでも、3ヶ月程度の文字起し時間がかかりました。とてもとても手間のかかる手法だったのです。それがPROCが出来て、研究の効率が上がりました。




エピソード:

尊敬する研究者に菅井勝雄先生(大阪大学 名誉教授)がいます。彼は、前任の茨城大学で「IRE(Ibaraki Responsive Environment)」という自閉症児の観察研究・治療システムを開発されました。私は見学させていただきましたが、実にすばらしいものでした。


こうした研究には、被験者の行動プロトコルや、言語プロトコルの収集が必要でした。大量の記録が入手できたそうですが、その分析には大変な努力と時間が必要であると、菅井先生は言っておられ、共感したことを憶えています。互いにPROCのようなシステムが、研究上必要な分野だったのでしょう。


石桁研究室では、多くのプロトコルを貰うために、被験者の学生に随分と協力してもらいましたが、大抵は放課後の時間を当てていました。その結果、どうしても帰宅時間が遅くなり、迷惑をかけました。


特に、教職課程で学ぶ学生には、自分が行なった模擬授業についてのプロトコルや、他の学生が行なったプレゼンテーションについてのプロトコルの採取には、2−3時間を要しました。辛抱強く付き合ってくれましたこと、感謝に耐えません。


「PROC」のその後ですが、「PROCA」を企画しましたが、これはプロトコルの収集だけでなく、分析も行なえる予定でしたが、研究の引き継ぎ手がなく、断念しました。




公表文献:

プロトコルを採取するためのシステムPROC開発と試用、
教育システム情報学会誌、Vol.13、No.4、1997年。


 

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講師のご紹介 【向塾】

大和 可也
(やまと かや)

1944年生まれ。高知県出身。
早稲田大学文学部卒。
教育プロデューサー。

大学卒業後1969年〜1987年 (株)学習研究社勤務。 独立後、メディアプロデューサーとして活躍。
その後、大学講座演出、プロデュースを手掛ける。

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相澤 将之
(あいざわ まさゆき)

1942年生まれ。東京都出身。
法政大学経営学部卒。
元東京リコー社長。

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石桁 正士
(いしけた ただし)

1936年生まれ。和歌山県出身。
和歌山大学学芸学部(現教育学部)卒業。(教育学士)
大阪市立大学大学院工学研究科修了。(工学博士)

京都大学、大阪大学を経て1970年に大阪電気通信大学助教授に就任。その後教授を経て2007年名誉教授となる。
やる気研究会の主宰や情報教育学研究会(IEC)の発起人として活躍し、現在大阪電気通信大学の客員研究員として教育の研究に従事。

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