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  • 2014.08.26 Tuesday

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プロトコル試験法

中締めのご挨拶の通り、ここから教育の造語に入ります。


造語の説明:

教育の場で用いられる試験の方法(試験法)には、ペーパー試験、口頭試問、面接試験、実技試験、模擬試験、グループ試験など、実にいろいろとあります。私が考えた「プロトコル試験法」というのは、ずいぶんと変わった「ペーパー試験の一方法」であると思っています。ご紹介しましょう。


通常のペーパー試験というのは、用紙に問題が書かれていて、その答を考え、用紙に考えた答を書かせるものですね。ところが、プロトコル試験法は、用紙に「問題とその答の両方」が印刷されてあるのです。こんな試験用紙を配ると、学生たちは「先生、この試験は何を書くのですか」と聞いてきます。


大体、試験というのは、記憶に依存した知識を問うものがきわめて多いと思います。それは、「理解していたら、記憶に留まる」という理論を根拠にしているからです。そうして試験をする側(出題者側)は、受験者の理解状態を調べるために、こうした記憶型の試験を行なうのです。


ところが、受験者は「暗記」という手を使って、さも理解したかのように振舞い、試験を潜り抜けるという作戦を取ります。受験者は、問題と答えの両方を丸暗記しておいて、用紙に憶えたことを丸書きするのです。

私の造語の「試験の3丸」を思い出してください。私は、こうした「試験の3丸」の対策として、次の2案を考え、実行してきました。


1つは記憶している知識と理解を切り離すことにし、「教科書やノートや参考書など、すべて参照可能」という条件で試験を行なってきました。いわゆる「持ち込み試験」です。理解力を見るこの試験の方法は成功しました。

参照可能ですから、丸暗記する必要は全くないのです。その代わり、理解をしておかないと、答えは書けません。そんな問題を出します。


もう1つは、必要な知識は試験の中にすべて盛り込み、理解力をしっかりと見ることにした方法で、試験用紙には「問題と答の両方を印刷」しておき、「,海量簑蝓癖検砲鬚匹里茲Δ鵬鮗瓩靴燭里、△覆爾修里茲Δ陛になるのか、Eがなぜ正しいのか、これら3つを解説せよ」というやり方を考え付きました。


質問の,蓮¬簑衒犬鬚茲読み、正しく解釈し、何が問われているのかを書かせるのが目的です。これで問題の解釈力や理解力が分かります。△蓮答えを出していく過程での論理や論理的思考を解説させるのが目的です。これで、答の解釈力や論理的思考力を見るのです。は、答が正しいことを説明させるのが目的です。試験の3丸主義者は、完全にお手上げでした。




造った理由:

「持ち込み試験」は、在職中、担当するほとんどの科目で行ないました。勉強せず、教科書や参考書などを持ち込めば、試験に合格すると考えていた学生は、これもまた完全に失敗しました。

出題者である私はこれで目的を達しました。そこで、私はもう1つ試験方法を開発したいと考えておりました。


思いついたのが、問題と答の両方を与え、理解のプロトコルを求める試験方法です。これに「プロトコル試験法」と名付けました。私のアイデアは成功しましたし、受験生の意表を突くことも確かでした。ただ問題作りが面倒で、かなり時間がかかったのです。


それで、このプロトコル試験法は、限定的に用いることにしました。対象は、教職課程で学ぶ学生にしました。将来、教壇に立つ学生に、理解を重視する試験の方法、理解の大切さ、理解を伝える難しさ、理解を伝える先生のプロトコルの重要性などを、しっかりと把握させる目的があったからです。


私は、このプロトコル試験法の前に、「プロトコール教授法」というのを提案したことがありますが、定義不十分で、今は研究中であります。




エピソード:


持ち込み試験の例から


持ち込み試験は、教科書、参考書、辞書、事典、高校時代の教科書、過去問、ノート、配布したプリント、先輩のノート、関数電卓など、幅広く許可しました。


そんな中、過去の試験の答案(返却したもの)のコピーがありました。点数を見ると、10点や20点が付いていました。

私はその学生に、「なんで、こんな出来の悪い答案のコピーを持ってきたんや?」と訊きましたら、「クラブの先輩がくれたんです、きっと役に立つと言ってくれたんです」と答えてくれました。

私は「次は、もっとまともな点数の答案のコピーを持って来るんだね」と言いましたら、「もういっぺん受けやなあかんのですか?」としょげていました。



プロトコル試験の例から


教職課程の学生に、プロトコル試験をしました。n個の実測値の算術平均値を求める方法を問題として出し、解答として3種類の計算方法(計算式の形で)を付けました。3種類の計算方法を解説させるプロトコルが狙いです。


1つ目は、n個の実測値をすべて足してから、nで割る方法です。2つ目は、実測値の1つ1つをまずnで割り、それを加え合わせる方法です。3つ目は、実測値の1つ1つから、一定値Cを引き、それをすべて加えてから、nで割り、最後にCを加える方法です。


3つの方法それぞれに特長(よさ)があるのですが、受験生は理解不足なのか、特長を解説し切れませんでした。算術平均値を求める方法は1つしかない(1つ目の方法)と思い込んでいたようです。


2つ目の方法は、実測値をnで割ることは、実測値に1/nを掛けることですから、1/nは重みを意味することになり、重み付けから期待確率への橋渡しになるのですが、気付いてくれる学生は皆無でした。

ただ1人、「この方法は民主的だ」と解説したプロトコルがありました。着眼点はよかったと思います。


3つ目の計算方法は、貨幣(1円玉)の直径を、マイクロ・スクリュウメーターで測らせ、その平均値や分散を求めさせる課題に関係するものでした。1円玉の直径は、貨幣規準で2cmが公称値です。

誤差はきわめて少ないので、一定値Cを2cmとすると、わずかな誤差だけを求めるとよいのです。これも実験と結び付けていれば、この方法のよさを感じるはずでした。


標準解答の公表から

小学校から高等学校まで、試験の答案用紙を返却してくれる先生がいましたが、教育指導上、望ましいことだと思い、大学でもやってみました。

しかし、答案用紙が手元にないと、「クレーム処理」や「他の学生との比較説明」ができませんので、私はある時期から、答案の返却を止めにしました。


中間試験や定期試験を行なったら、答案返却の代わりに、必ず「標準解答」を、教員個室の前の廊下に掲示することにしました。「模範解答」ではありません。あくまでも「標準解答」です。


せめてこの程度の解答を私は期待していますという意味を込めて、「標準解答」にしました。同時に、配点も掲示しました。そして、成績に疑問やクレームがあれば、できるだけ申し出るようにと指示しました。


本務校の大学の合否判定基準は、60点で合格、59点以下で不合格でした。1点の不足、2点の不足で不合格になった学生は、「先生、1点ぐらいまけてくれませんか」と言いに来ました。その学生との会話が、またまた楽しいのです。これは「心の中の数直線」の造語のところで紹介しましょう。



公表文献:

物理教育研究会:情報時代の先生のための学習法・教授法、1978年7月1日、
蠍饗神文社印刷、自費出版。

情報処理的問題解決法、(情報科学シリーズ10)、パワー社、1990年2月。



 

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講師のご紹介 【向塾】

大和 可也
(やまと かや)

1944年生まれ。高知県出身。
早稲田大学文学部卒。
教育プロデューサー。

大学卒業後1969年〜1987年 (株)学習研究社勤務。 独立後、メディアプロデューサーとして活躍。
その後、大学講座演出、プロデュースを手掛ける。

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相澤 将之
(あいざわ まさゆき)

1942年生まれ。東京都出身。
法政大学経営学部卒。
元東京リコー社長。

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石桁 正士
(いしけた ただし)

1936年生まれ。和歌山県出身。
和歌山大学学芸学部(現教育学部)卒業。(教育学士)
大阪市立大学大学院工学研究科修了。(工学博士)

京都大学、大阪大学を経て1970年に大阪電気通信大学助教授に就任。その後教授を経て2007年名誉教授となる。
やる気研究会の主宰や情報教育学研究会(IEC)の発起人として活躍し、現在大阪電気通信大学の客員研究員として教育の研究に従事。

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