スポンサーサイト

  • -
  • 2014.08.26 Tuesday

一定期間更新がないため広告を表示しています


心の中の数直線

造語の説明:

学校で行なう試験の採点は、100点満点で付けるのがごく普通であると思います。その数値を用いて、入学を許可したり、編入を許可したり、単位認定をしたり、科目の評価値にしたりします。


本務校では、単位認定の評価としては、0点から59点までをD評価(不可)とし、60点から69点までをC評価(可)とし、70点から79点までをB評価(良)とし、80点から100点までをA評価(優)としていました。他大学では、90点から100点までをS評価(スーパー優=秀)にする所もあります。


さて、60点で合格、59点で不合格ですから、59点と60点の間が、運命の境目となります。私は、よく59点、69点、79点、99点を付けました。理由(こだわり)があったのですが、学生はそれを聞きに来ませんでした。だから、私も説明しませんでした。ずっと、私の心の中に、そのこだわりがあり続けたのでした。


ある出来事で、私は自分の心の中のこだわりを説明することにしました。こだわりとは、「心の中の数直線」でした。特に「その目盛りの打ち方」でした。それを以下に示しましょう。






私の心の中の評価の数直線の目盛りは、等間隔ではないのです。0点と100点は、両端にありますが、59点と60点の間も、99点と100点の間も、すごく空いています。69点と70点の間も、79点と80点の間も、やや空いています。


0点から59点までの間隔も、60点から69点までの間隔も、また70点から79点までの間隔も、80点から99点までの間隔も、等間隔にしています。しかし、59点と60点の間、69点と70点の間、79点と80点の間は、かなり不等間隔です。


この不等間隔の目盛りの数値には、私なりの意味があります。59点は、「努力が足りません、来年度受け直しなさい」の意味です。99点は、「素晴らしくよい成績ですが、まだまだ完全とは言えません、もっともっと努力しなさい、期待しています」の意味です。


このことは、評価に関する主観的な世界(心の中の世界)のことで、正に「情報心理」そのものだと思っています。「心の中の数直線」を表示することは、今風に言えば、「評価の見える化=外化」でしょうね。こうしたことがきっかけで、成績評価関数としての「下駄足切り関数」という造語を生み出しました。




造った理由:

ある出来事とは、1点差で(59点で)、ある必修科目が不合格になった親子が、自宅に押しかけて来て、私が帰宅前だったので、家内が対応したそうです。「お上がりください」と家内が言う前に、ずかずかと上がりこんだそうです。親子が在宅中に私が帰宅して、対応しましたが、親子はしぶしぶ不合格を認めて帰ってくれました。


それ以後、私は「成績の件で、自宅まで押しかけて来たら、即刻0点とする」と掲示しました。成績の件での相談は、公的な場所すなわち教員個室や研究室で、データ(試験の出来具合、教務手帳の記載内容)を見せながら、じっくりとするのが当然でしょう。


この出来事がきっかけで、私は心の中の数直線を掲示しました。それによって等間隔でないことを、学生たちは知ってくれたようです。しかし、数直線は数学で習った通り、あくまでも等間隔であるべきだと思っていた学生が多くいました。数学はあくまでも数学の世界のことで、私は心理的な世界があることを言いたかったのです。これも、情報心理の世界なのです。



エピソード:


台湾から編入してきたある女子学生がいました。Sさんとしましょう。Sさんは、台湾で日本の短期大学に相当する専門学校を卒業し、本学の工学部の経営工学科の3年生に編入を希望したのでした。


取得していた科目、単位数などを記載した成績証明書を見て、本学のルールと照らし合わせ、受け入れの基準を満たすかどうか、審査しました。その結果、2年生に編入が決まりました。


驚いたのは、Sさんの履修してきた科目の成績証明書の記載でした。100点満点で付けられていたのですが、なんと小数点以下1桁まで評価されていました。例えば、体育は、78.3点というように。0.1点の差は、本当に意味があるのでしょうか。日本では、ここまで細かく評価しませんよね。国が変われば、評価の習慣も変わるでしょうか。


昨年、大学入試センター試験が話題になりました。1点差に教育的意味があるのかどうかです。


ここで紹介しましたのは、100点満点での評価法ですが、これを10点満点での評価法にしますと、評価者の心理が変わるのです。6点で合格とし、5点以下で不合格とするのは、自然と受け入れ易く感じるのです。「1点位まけて欲しい」と、言えるかどうかです。大学の成績評価も、10点満点で行なうことも一案だと思っています。


もちろん、そうなっても、私の心の数直線は、不等間隔でしょうね。学習者を評価するというのは、教員にとって悩ましいものなのです。




公表文献:

公表した文献は手元にありませんが、何かに紹介した覚えがあります。



 

スポンサーサイト

  • -
  • 2014.08.26 Tuesday


講師のご紹介 【向塾】

大和 可也
(やまと かや)

1944年生まれ。高知県出身。
早稲田大学文学部卒。
教育プロデューサー。

大学卒業後1969年〜1987年 (株)学習研究社勤務。 独立後、メディアプロデューサーとして活躍。
その後、大学講座演出、プロデュースを手掛ける。

大和 可也の記事一覧を見る

相澤 将之
(あいざわ まさゆき)

1942年生まれ。東京都出身。
法政大学経営学部卒。
元東京リコー社長。

相澤 将之の記事一覧を見る

石桁 正士
(いしけた ただし)

1936年生まれ。和歌山県出身。
和歌山大学学芸学部(現教育学部)卒業。(教育学士)
大阪市立大学大学院工学研究科修了。(工学博士)

京都大学、大阪大学を経て1970年に大阪電気通信大学助教授に就任。その後教授を経て2007年名誉教授となる。
やる気研究会の主宰や情報教育学研究会(IEC)の発起人として活躍し、現在大阪電気通信大学の客員研究員として教育の研究に従事。

石桁 正士の記事一覧を見る

木村塾長 コラム

記事リスト【講師が語る。】

検索

リンク

sponsored links

ケータイで見る

qrcode