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  • 2014.08.26 Tuesday

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コンピュータの情報心理効果

私は、工学部の経営工学科に所属していました時は、「情報心理学研究室」を名乗っていました。また、研究分野では「教育工学」に関心が高かったので、コンピュータで教育情報を処理することが多かったと思っています。


教育情報処理というこの分野には、コンピュータの利用に関して、いろいろな心理的な効果が見られました。代表的なものを3つご紹介いたしましょう。



造語の説明:


まず、「コンピュータの仲人効果」と名付けた造語があります。教育工学の研究仲間の目(さっか)修三先生(当時は八戸工業大学教授、今は八戸大学かな)は、物理学を教えておられましたが、学生たちは授業中、なかなか質問や意見を言ってくれなかったそうです。


そこで目先生は、パソコンで簡単な手紙を印刷して、受講生たちに手渡したそうです。そうすると、学生たちは何だろうと不思議に思い、手紙を持って、先生の個室や研究室を訪ねて来るようになったと聞いています。先生は「よく来たね」とお茶を出し、やっと学生たちと話が出来、打ち解けることができたということです。


私は、目先生のこの経験談を聞き、まるでコンピュータは先生と学生を結び付ける「仲人のような働き」があったと直感し、「コンピュータの仲人効果」と名付けました。とかく大学の先生は学生と親しくなるために、何か働きかけ(きっかけ)や工夫(アイデア)が必要なのですね。目先生は、教育熱心な先生でした。


次に「コンピュータの鏡効果」と名付けた造語があります。すでにご紹介した「下駄足切り関数」の研究の時もそうでしたが、コンピュータを用いて教育情報を処理してみますと、その結果から、何らかの心理的効果を感じることがあります。


講義を担当していて、中間試験や定期試験をして、受講生たちを評価し、いよいよ最終成績を付けて教務課へ出しますが、意識する・しないに関わらず、自分はどんな成績評価の仕組み(私たちは関数と言っています)を用いているか、気になると同時に、関心が深いものです。


評価に用いたすべてのデータ(仕組みの入力になります)と最終評価値(仕組みの出力になります)から、評価者の評価関数が大まかに推測できるのです。その結果を知らされますと、まるで「コンピュータが自分の心の中を見せてくれた」ように感じます。それはコンピュータが、自分の心の中の何か(心の仕組み=考え方)を映し出してくれているような気分(鏡に心の内面が映っている気分)になりました。そこで私は、これに「コンピュータの鏡の効果」と名付けました。


3つ目は、「コンピュータの信頼効果」と名付けた造語があります。データを手で処理した結果と、コンピュータで処理した結果を示しますと、一般にコンピュータを使って処理した方が、「正確」で、「信用できる」と、人は感じてしまうらしいのです。


ご紹介した「下駄足切り関数」の研究の時もそうでしたが、手作業でも「成績評価関数」を描いてみました。しかし、人々の信頼性が高くないのです。一方、コンピュータを用いて教育情報を処理して、それを示しますと、信用してくれるのです。これは一種の思い込みです。


こうしたことから、コンピュータの何らかの心理的効果を感じたのです。明らかに人間の手作業は信用できないが、コンピュータは信用できると頭から決め込んでいることが分かりました。それを「コンピュータの信頼効果」と洒落てみたのです。


明らかにミスのあるプログラムを用いて、データを処理しますと、コンピュータはミスのある結果を出してくれます。コンピュータだからと言って、盲信するのは愚かしいことです。



造った理由:


私はよく講演を頼まれました。何とか話を面白くしたかったので、「コンピュータの○○効果」なんて、ちょっとした表題にしたのです。いろいろな事例を知り、集めますと、面白く名付けたくなる事例に遭遇しました。



エピソード:


近畿でも名前の売れた、ある女子大学の創立50周年のシンポジストを頼まれたことがあります。当時はCAI(Computer Assisted Instruction)が注目の的でした。私は、CAIは、Computer And I であると洒落てみました。


コンピュータに教えられるのではなくて、コンピュータに向かう自分がいるから、一生懸命学ぶのだと言いたかったのです。人間の意志(やる気)を尊重したかったのです。このシンポジュームで、知り合ったことから、面白い研究も生まれました。きっかけ作りも大切です。




公表文献:

教育情報処理、(情報科学シリーズ6)、パワー社、1985年10月。


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講師のご紹介 【向塾】

大和 可也
(やまと かや)

1944年生まれ。高知県出身。
早稲田大学文学部卒。
教育プロデューサー。

大学卒業後1969年〜1987年 (株)学習研究社勤務。 独立後、メディアプロデューサーとして活躍。
その後、大学講座演出、プロデュースを手掛ける。

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相澤 将之
(あいざわ まさゆき)

1942年生まれ。東京都出身。
法政大学経営学部卒。
元東京リコー社長。

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石桁 正士
(いしけた ただし)

1936年生まれ。和歌山県出身。
和歌山大学学芸学部(現教育学部)卒業。(教育学士)
大阪市立大学大学院工学研究科修了。(工学博士)

京都大学、大阪大学を経て1970年に大阪電気通信大学助教授に就任。その後教授を経て2007年名誉教授となる。
やる気研究会の主宰や情報教育学研究会(IEC)の発起人として活躍し、現在大阪電気通信大学の客員研究員として教育の研究に従事。

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