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  • 2014.08.26 Tuesday

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情報処理的問題解決法

造語の説明:


私は30冊以上、単行本を書きましたが、唯一の単著が「情報処理的問題解決法」です。東京の出版社のパワー社から出した「情報科学シリーズ」の中の1冊で、このシリーズ最終の第10号となっています。


この本は、工学部の経営工学科の情報心理学研究室で学んだ卒研生や研究生の努力、学内外の多くの方々からのご支援、学会や研究会のご指導とご協力、拙い私の指導などを題材にしていますが、中心となる考え方が「問題解決思考の方法論」でした。


今日の学生には、問題発見力や問題解決力が不足しているという指摘がなされています。また、アクティブ・ラーニング(自発的学習)の意欲も不足していると言われています。理由は、いろいろとあると思われますが、当時のカリキュラムの中に、こうした関係の科目がなかったのです。


私は、2000年(平成12年)に新設されたメディア情報文化学科に移籍した時、初めて「問題解決入門」の科目や、アクティブ・ラーニングを主体とした「特別活動(特活)」の科目を、カリキュラムに入れました。


今は、どの大学でも、どの学部でも、どの学科でも、PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)の科目も、PSBL(プロブレム・ソルビング・ベースド・ラーニング)の科目も、普通に行なわれているようです。


科目が無かった理由ですが、大学教育の旧制度では、無単位必修の「卒業研究」や「卒業論文作成」があって、4年生はすべての時間をこれに費やしていましたから、学生は自然と実力が付いたのです。


それが、今の新制度では、「卒業研究」といっても、わずか8単位(1週2コマ=180分から200分程度)になったのですから、実力低下は当たり前でしょう。さらに、学部や学科によっては、卒業研究を選択科目にしている所もありますから、言わずもがなでしょう。


私は、卒業研究で、学生たちを「一人前」にしようと考えていましたので、できるだけ問題解決活動を経験させたのです。「情報処理的」とは、「情報処理に重きを置いた」という意味で使っています。これは、単にコンピュータを使って問題を解決するというのではありません。問題解決思考を経験させ、その方法を学び取り、実践することなのです。



造った理由:

大学教育における卒業研究で取り上げる問題は、教員が与えるもの、企業や研究所などから委託されるもの、OBなどから引き継ぐもの、学内外の共同研究のもの、学生が見つけてくるものなどがあります。

それらの問題の解決過程は、問題の検討、問題事態や現状からの問題発見、問題分析(イル・ウェルのタイプの分析、IPO(入出力)分析、因果関係分析、目的理由関係分析、相関関係分析、条件分析など)、問題の定式化、情報やデータの収集、情報の検索、分析(データ分析、情報源分析、方法分析、手段目的分析、視座分析、視点分析、価値観分析、事例分析など)、解決方針の策定、解決案の案出、分析(メリット・デメリット分析、費用対効果分析、可能性分析など)、案の決定、案の実行、分析(PDCA分析、原因分析、効果分析など)、評価、結論、報告書作成、副産物の処理などがあります。


これらの過程を合理的に行なうには、各ステップで情報処理を確実に行なわなければなりません。情報処理には、情報分析(インフォーメイション・アナリシス)もあれば、情報総合(インフォーメイション・シンセシス)もあれば、情報把握(インフォーメイション・グラスピング)、情報創造(インフォーメイション・クリエイション)もあります。それを指導する根拠が、「情報処理的問題解決法」だったのです。



エピソード:

心に残る問題解決事例があります。交通問題やスーパーストアの商圏(トレーディング・エリア)などをご紹介しましょう。


名神高速道路の天王山トンネル、梶原第一トンネル、梶原第二トンネルで多発した追突事故の原因調査でした。自動車の走行速度を自動的に記録する機器の「タコメータ」と、その記録である「タコグラフ」をデータとして、コンピュータによる解析を行ないました。


実際には、トンネル内のバスの走行速度を、日本で初めて明確に捉え、トンネル内の走行状態(速度変化)を把握しました。このテーマは、高速道路公団から、交通安全協会を通じ、大阪交通科学研究会に委託された問題で、いくつかの大学と共同研究をしたものです。この成果は、当時、NHKで「瞬間の暗闇」という30分番組として放映されました。


また、一般道路に設置されている5種類の標識があります。それは、規制標識、警戒標識、指示標識、補助標識、案内標識の5種類です。この中の案内標識を除いて、他の4つの標識の「最適配置案」を提案するコンピュータ・プログラム「ミスター・スポック」を開発しました。道路の状況と標識の設置状況を入力しますと、コンピュータは最適配置案を提案するのです。京都新聞社から取材を受け、同紙に取り上げていただいたこともあります。


ある大手のスーパーストア(当時はSSDDSと言い、セルフ・サービス・ディスカウント・デパートメント・ストア)の商品部から依頼を受けて、同社のいくつかの店舗の商圏(トレーディング・エリア)を、ハフモデルを用いて計算しました。さらに、競合店の商圏と比較してみました。アメリカのハフ教授が提案したハフモデルを用いるのが常識でした。それをベースに、われわれが改良したモデル案を作り、大阪府下のいくつかの地域の商圏を算出しました。


また、ハフモデルの基礎になっている魅力(値引き、品揃え、入店のし易さなどの要因)と、負荷(交通手段と所要時間、店内の移動のし難さ、サインの見難さなどの要因)に、購買者の家庭の在庫量を付加したモデルなどを考案し、実地に算出したりしました。


すべて、情報と情報処理を重視して、コンピュータを用いた問題解決をめざした研究でした。メタヒントとその利用、CAPSSというシステムも用いました。




公表文献:

実例で学ぶ情報処理、(情報科学シリーズ2)、パワー社、1982年3月。

情報処理的問題解決法、(情報科学シリーズ10)、パワー社、1990年1月。


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講師のご紹介 【向塾】

大和 可也
(やまと かや)

1944年生まれ。高知県出身。
早稲田大学文学部卒。
教育プロデューサー。

大学卒業後1969年〜1987年 (株)学習研究社勤務。 独立後、メディアプロデューサーとして活躍。
その後、大学講座演出、プロデュースを手掛ける。

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相澤 将之
(あいざわ まさゆき)

1942年生まれ。東京都出身。
法政大学経営学部卒。
元東京リコー社長。

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石桁 正士
(いしけた ただし)

1936年生まれ。和歌山県出身。
和歌山大学学芸学部(現教育学部)卒業。(教育学士)
大阪市立大学大学院工学研究科修了。(工学博士)

京都大学、大阪大学を経て1970年に大阪電気通信大学助教授に就任。その後教授を経て2007年名誉教授となる。
やる気研究会の主宰や情報教育学研究会(IEC)の発起人として活躍し、現在大阪電気通信大学の客員研究員として教育の研究に従事。

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