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  • 2014.08.26 Tuesday

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PROC(プロトコル・コレクター)

造語の説明:

PROCとは、Protocol Collector System のことです。そもそもプロトコルとは、自分の思考過程を述べたり、自分の思考過程を解説したりする時の言語記録のことです。もちろん、実験などでは、多くの人(被験者)のプロトコルを採取する必要も出てきます。


一般に、プロトコルとは、主として言語による記録である「言語プロトコル」を指しますが、行動の記録である「行動プロトコル」というのもあります。このプロトコルを記録し易いように、パソコンを用いてシステムにしたものが「PROC」です。


情報心理学研究室という看板を掲げていた石桁研究室は、コンピュータから生み出された情報を、人間がどのように受け取り、それをどのように理解し、どのように感じ、どのように活用するか、どのように記憶するかなどを研究テーマにしていましたので、研究遂行上、どうしても多くのプロトコルが必要だったのです。


PROCは、当時、大阪電気通信大学の大学院生であった徐 壮志君(現在、昭栄薬品蟠侈魁砲設計し、実現してくれました。基本は、プロトコルを口で言ってくれる人(被験者と言います)の思考を刺激するために、予め用意した映像情報(PROCに内臓させてあるもの)を映し出しながら、被験者のプロトコルをワープロで打ち込んでもらう仕組みとなっていました。


映像情報として、2種類のものを用意しました。静止画と動画です。静止画では、被験者がそれを見て、何に注目したか、画面のどこを見たか、見て何を感じたか、何を連想したか、それらをどう表現したかなど、質問しながら(質問もPROCに内臓してある)プロトコルを言って(書いて=入力して)貰いました。動画も静止画とほぼ同じですが、動き方とか、画面のつながり方とか、画像の捉え方(カメラ・アングル)などが、プロトコルに反映されました。


被験者がPROCに、直接、ワープロ打ちをする場合と、補助者がいて、その人が打ち込む場合とがあります。私たちは、このシステムに、「PROC(Protocol Collector System)」と名付けて、活用したのです。




造った理由:

情報心理を研究する場合、いくつかの手法があります。その代表的なものが、人々からプロトコルを集め、分析し、分析結果から法則性を見つけたり、原理を推測したりする方法です。


最も集め易いのが、学生たちのプロトコルでした。卒業研究生、教職課程の受講生、ゼミ生などは、よく協力してくれました。集め難いのが、企業に勤める方々のプロトコルでしたが、何とか手蔓を使って、協力者をお願いしました。


その当時、プロトコルの集め方は、まず聞き取り調査をさせていただき、その音声をカセット・テープ・レコーダーに録音します。それを大学に持ち帰って、再生しながら「文字起し」をするのです。わずか2−3時間の聞き取りでも、3ヶ月程度の文字起し時間がかかりました。とてもとても手間のかかる手法だったのです。それがPROCが出来て、研究の効率が上がりました。




エピソード:

尊敬する研究者に菅井勝雄先生(大阪大学 名誉教授)がいます。彼は、前任の茨城大学で「IRE(Ibaraki Responsive Environment)」という自閉症児の観察研究・治療システムを開発されました。私は見学させていただきましたが、実にすばらしいものでした。


こうした研究には、被験者の行動プロトコルや、言語プロトコルの収集が必要でした。大量の記録が入手できたそうですが、その分析には大変な努力と時間が必要であると、菅井先生は言っておられ、共感したことを憶えています。互いにPROCのようなシステムが、研究上必要な分野だったのでしょう。


石桁研究室では、多くのプロトコルを貰うために、被験者の学生に随分と協力してもらいましたが、大抵は放課後の時間を当てていました。その結果、どうしても帰宅時間が遅くなり、迷惑をかけました。


特に、教職課程で学ぶ学生には、自分が行なった模擬授業についてのプロトコルや、他の学生が行なったプレゼンテーションについてのプロトコルの採取には、2−3時間を要しました。辛抱強く付き合ってくれましたこと、感謝に耐えません。


「PROC」のその後ですが、「PROCA」を企画しましたが、これはプロトコルの収集だけでなく、分析も行なえる予定でしたが、研究の引き継ぎ手がなく、断念しました。




公表文献:

プロトコルを採取するためのシステムPROC開発と試用、
教育システム情報学会誌、Vol.13、No.4、1997年。


 

CAPSS(キャップス)

造語の説明:


CAPSSとは、「Computer Assisted Problem Solving System」のことです。名前の通り解釈しますと、いかにも人工知能型(人工知能のエンジンを積んだもの)のシステムに聞こえますが、全く逆でして、人工無能型のシステム(電子紙芝居式システム)です。


このシステムの設計思想は、コンピュータが問題解決をしている人間を支援するもので、GPS(General Problem Solver)のように、コンピュータが問題を自動的に解決するのではありません。コンピュータは、あくまでも問題解決者の思考を刺激するであろう情報(PSOI:Problem Solving Oriented Information と名付けた情報)を提供するだけのものでした。


PSOIとしては、2種類考えました。まず、問題事態に関わる情報で、直接情報とします。例えば、問題現場の写真、問題事態の報告書、解決のための企画書、現場の見取り図、地図、組織図、装置の設計図、運構図、連絡網など、俗に関係書類と言われるものです。


もう1つは、間接情報とします。例えば、視座リスト、視点リスト、価値観リスト、頭字集、ある種の諺などの情報です。これらの情報は、問題か帰結者たちの思考を刺激するための情報で、これをメタヒントと考えました。


私は、問題解決過程において、メタヒントの役割を重視しました。そして、システム開発者がCAPSSにメタヒントを格納しておき、問題解決者が必要に応じて画面に映し出し、それを見て解決のヒントにして、問題を解決することを考えました。これは、TCS(テレ・コーディネーター・システム)のアイデアを下敷きにしています。


視座リスト、視点リスト、価値観リストなどは、一種の「思考刺激情報」として活用する仕組みを想定してきましたが、問題解決の場での使い方は次のようになっています。実際に問題が与えられたり、あるいは問題を見つけ出したり、問題事態に直面したりした場合、まずその問題そのものの検討から始めます。


どんな立場からその問題を見るかですが、立場である視座をいろいろと「視座リスト」から拾い挙げて行きます。問題提起者、問題解決者、問題発見者、問題当事者、コンサルタント、上司、同僚、部下、顧客、監督者、サービスマン、営業マン、加害者、被害者、第三者、記録者、報告者、管理者など、多数に上ります。


問題や問題事態のどこに目を付けるかですが、着眼点や注目点である視点をいろいろと「視点リスト」から拾い挙げて行きます。ただし、「視点リスト」は問題が関わる分野(カテゴリーとか、フィールドとか、ジャンルとか、ターゲット・エリアとか言います)で異なります。


例えば、問題が社内のコンピュータ・システムという分野であるとしますと、システムの維持と管理、システムの保守と体制、システムの機能、システムの構築、システムのトラブル、システムのコスト、システムの利用、システムの信頼性、システムの計画、システムの要員と教育、システムのネット化など、多数の視点が検討のために列挙します。


続いて価値観も検討の対象になります。価値観リストから、多くの価値観を選び出して、1つ1つ検討を加えて行きます。価値観は、企業体質によっても、企業の規模によっても、企業の現場によっても、大きく異なることもあります。だから、価値観リストから、必要なものを選び出して、1つ1つ検討するのです。



造った理由:


TCSのアイデアの段階ですが、当初、コーディネーター役は、研究室の指導教員である私が務めましたが、学生たちは目の前にいる私に遠慮したり、言葉を無理に選んだりして、のびのびとした思考ができなかったので、このTCSを思いついたのです。


やがてTCSを用いて、コーディネーターがメタヒントである思考刺激情報を、的確にかつタイミングよく学生たちに送信し、プロブレム・ソルバーの役割を果たしている学生たちの思考を刺激することは、実行可能であると確信しました。


コーディネーターがいない場合どうするか、この問題の解決がCAPSSへのアイデアと繋がったのでした。CAPSSのまたの名をCAMSSと言いますが、CAMSSとは、「Computer Assisted Metahint Serving System」のことです。CAPSSという名称より、このCAMSSの方が、実態的には正しい表現であったと、現時点では考えています。


何度も言いますが、このシステムは、自動的に問題解決をしてくれないタイプのもの(人工無能システム)でありました。狙いは、人間の脳であるHBC(ヒューマン・ブレイン・コンピュータ)を、最大限に活用することを狙ったものでした。



エピソード:

このようなコンピュータ・システムを構築するに当たって、研究室ではTCS(Tele Coordinator System)のアイデアと実験と実用化があり、その試作・運用を行ないました。このTCSについては、既に紹介しましたね。


TCSの説明をもう少し追加します。普通、問題解決のための検討会やブレーンストーミングなどの場(以下、簡単に「場」とします)には、参加者の自由な発想を尊重するために、上司や指導者の立場でなく、助言者(アドバイザーとかナビゲーター)や調整役(コーディネーター)などが必要であることが多いと思われます。


有能なコーディネーターは、どうしても仕事が多く、問題解決の現場にいないことも多々あります。そこで、コーディネーター役の人の代わりに、こうした「場」で、CAPSSを利用してもらうことを考えました。


問題解決者たちに、CAPSSからの情報(メタヒント)を視聴してもらい、必要を感じたら、メタヒントをCAPSSに要求して、画面でそれを見ながら、自分たちの思考を自らの意思で刺激するのです。


PSOIには、文字情報もあれば、数値情報もあれば、図的情報もあれば、写真情報もあれば、動画情報もあります。当時のパソコンの機能から、動画情報は装置の制限上実現していませんでした。VTRもまだまだ高価で、しかもオープンリールの時代でありましたので、パソコンと連結できませんでした。


こんな機能の低いCAPSSでありましたが、共同研究者の竹嶋徳明氏(当時、S化学会社に勤務、故人)と、物流基地(物流センター)の最適設置場所をテーマとして試用しました。


「日本全土のどこに物流センターを設置するか」のテーマでスタートしたのですが、「センターを設置しなければならないか」のテーマの方を、まず解決するべきだという結論になったことを思い出しています。問題解決には、問題分析が必要であり、さらにその背景の分析も必要であることを悟ったのです。



公表文献:

情報処理的問題解決過程の研究(1)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第10号、1974年(昭和49年)。

情報処理的問題解決過程の研究(2)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第11号、1975年(昭和50年)。

Managerial Decision Making Using CAPSS, TIMS 22  International
Conference 1975年、京都。

情報処理的問題解決過程の研究(3)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第12号、1976年(昭和51年)。

Computer Assisted Problem Solving System (CAPSS)、情報処理
学会誌、18巻、2号、1977年。

Managerial Decision Making Tool CAPSS, Proc. of IFIP Congress. ’77.
1977年,CANADA。
 
情報処理的問題解決過程の研究(4)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第13号、1977年(昭和52年)。

情報処理的問題解決過程の研究(5)、大阪電気通信大学研究論文集、人文社会
科学編、第11号、1978年(昭和53年)。



 

ひとりBS(ブレーンストーミング)

造語の説明:


課題の有無に関わらず、いろいろとアイデアを出す方法に、「ブレーンストーミング(以下、BSと略記します)」という方法があります。

これは、グループで自由に思い付くこと(言葉)を出し合い、最後に議論をして纏め上げるという発想法の1つです。


BSにはいくつかのルールがあります。紹介しますと、グループですること、他人のアイデアを非難しないこと、意見を出すとき遠慮はしないこと、他人のアイデアを活用すること(尻馬に乗ると言います)、必ず記録と整理をすること、テーマをしっかりと意識することなどです。


このBSという方法に着目して、私はひとりでBSを行なう方法を考えました。発想に協力してくれるメンバーがいないとか、期待していたグループのメンバーの都合がつかないとか、自分ひとりで発想しなければならないテーマであるとか、いろいろと事情がある場合を想定しました。


ひとりでやらなければならない時、強い意思が必要です。しかし、人間はすぐに飽きてきたり、発想が思ったように出来ないと嫌になったり、疲れてやる気が減少したりします。では、こんな場合どうするか、考えてみました。それが「ひとりBS」のアイデアなのです。


この造語も、ブレーンストーミングという既存の言葉に「ひとり」を付けただけです。でも、「ひとりブレーンストーミング」は長すぎるので、BSと短縮し、「ひとりBS」としたのもアイデアのつもりです。




造った理由:


前々から、メタヒントの活用やCAPSS(コンピュータ・アシステッド・プロブレム・ソルビング・システム)というメタヒント・サーバーを使いながら、いろいろとアイデアを出すこと(発想)を考えておりました。


この「ひとりBS」で、自分ひとりの力で、質の高い発想をしたいと思っていたのです。発想の質を高める方法こそが、造語の真のねらいです。


発想法には、多くの先駆者がいて、いろいろな方法を提案してくれています。その中でも、「連想法」とか、「類推法」とか、「結合法」とかは、一般的にも採用し易い方法と言えます。


「連想法」というのは、例えば、ポスト→赤い→トマト→ジュ―ス→ドリンク→ストロー→円筒形→煙突→排気などのように、1つのものから次々と連想し、この一連の言葉の中から、発想に必要なヒントを得て、アイデアにたどり着くやり方です。


「類推法」というのは、例えば、液体から気体へ(蒸発)、気体から液体へ(液化)、液体から固体へ(凝固)、固体から液体へ(溶融)、固体から気体へ(昇華)、気体から固体へ(昇華)、液体と気体の並存から発泡態へ、液体と固体の並存から固溶態へ、固体と気体の並存から粉態へと、物質の変化を類推しながら、発想するやり方です。


「結合法」というのは、例えば、電気と車を結合して「電車」や「電気自動車」を発想します。太陽と車を結合して「ソーラーカー」や、風と車を結合して「ウインドウカー」を発想します。このようにAとBを結合して、Cなるものを発想するやり方です。


ひとりBSでは、発想のヒントになる素と、それを基に思考する方法があれば、ひとりでも可能です。そのヒントの素を、「メタヒント集」に求めたのです。またCAPSSというシステムは、ひとりBS用にも使用できるものでした。



エピソード:


柱時計をテーマとして考えたことがありました。どんな発想が出来たのでしょうか。ご紹介しましょう。視座・視点・価値観のセットを使った「ひとりBS」での試みです。


メタヒントとして、視座リストを使いました。例えば視座として、大人、子ども、高齢者、障害者、健常者、男性、女性、主婦(夫)、有職者、仕事人、先生、学童、生徒、学生などをチェックの対象としました。


次のメタヒントとして、視点リストを用いました。例えば、時計の針、時計の文字、時計の文字盤、時計の原理、時計の構造、時計の正確さ、時計を掛ける位置、時計を置く位置、時計の種類、時計の使われ方、時刻と時間の違い、動力源、時計の重量、標準時、時差、文字盤を読める人、読めない人などを取り上げました。


メタヒントとして、価値観リストも用いました。例えば、時計が正確であること、時刻が正しく表示されること、時間が分かりやすいこと、関係する人々に時刻が意識されていること、時計に基づく生活習慣が尊重されること、容易に時刻が知らされることなどを考えました。


1つ目のテーマとして、幼児(幼稚園児)に読める時計を発想することにしました。幼児には、大人の3針式の時計はなかなか読めません。そこで、私は100金で時計(¥100)を買い、1針式の時計に改造することにしました。秒針、分針を取り外して、時針だけにします。針が1つですから、読みやすいのです。


まず文字盤に工夫を施しました。時間表示の外側に分表示の文字を書き入れました。それは、12時から1時の間(角度にして30度)に、00、10、20、・・・、50を書き込むのです。他も同様です。これで、時針1つで、何時何分であるか大まかに(10分刻みに)分が読めるのです。この時計、私は孫に使わせました。


2つ目のテーマですが、3交代制の勤務場所での時計を考えました。3交替ですから、例えば、昼勤は午前9時から午後5時(17時)までと、夜勤は午後5時(17時)から午前1時までと、深夜勤は午前1時から午前9時までとなります。こうした24時制の勤務場所では、24時制の時計が最適です。


今の円形の文字盤の時計の多くは、12時制です。そこで、正3角形の文字盤の時計を考え、1辺に9時から17時を割り付け、1辺に17時から1時を割り付け、最後の1辺に1時から9時を割り付けるのです。3角時計なので、「3住み(みすみ)時計」と名付けましたが、実用化までには至りませんでした。




公表文献:

SEのための創造型提案心得ノート、日刊工業新聞社、2003年3月。

すぐに使える問題解決法入門、日刊工業新聞社、2005年3月。


TCS(テレコーディネーターシステム)

造語の説明:
 
「TCS」とは、Tele Coordinator System のことで、Tele とは、「遠いとか、遠く離れたとか」の意味があり、Coordinator とは、「調整者とか、統合者とか」の意味があります。TCSは、遠く離れた所にいる人が、会議などを有線テレビで見て、調整するためのシステムであり、これを石桁研究室で開発しました。
 
システムの開発ですが、会議の効率化とか、会議の参加者に知的刺激を与える方法の模索とか、会議の進行役への指導や助言とか、そんな狙いで開発しました。開発当時まだまだ「テレビ会議システム」など、普及していない時代でした。今なら、インターネット利用の「スカイプ」でしょうか。
 
この仕組みは、双方向の有線テレビ会議システムですが、遠隔地を結ぶ会議システムではありません。一方に会議の場所があり、会議の参加者と進行役がいます。もう一方にコーディネーターの部屋がありまして、会議の様子は、コーディネーターがすべて把握できるようになっています。もちろん、会議は問題解決を目指した活動としています。
 
コーディネーターの役目ですが、単に会議での発言のチェックマン(お目付け役とか、看視者)ではありません。会議の進行を見て、会議の方向が望ましくない方向に進んだり、停滞したり、突っ込みが不十分であったり、進行役がうまく機能していなかったりした時、コーディネーターはテレビの画面を通じて、ある種の情報を送り、会議の場に刺激を与えたり、助言的な情報をそっと与えたりするのです。

 
この情報こそが「メタヒント」なのです。このTCSは、メタヒントの利用法の開発や、利用の実態把握や、会議の知的なコントロール方法の開発用という目的も加えていました。
 
したがって、以上のことを踏まえて、このシステムをかっこよく表現すれば、「TCSとは、双方向のCCTVを用いた問題解決用のコーディネーターとグループディスカッサントとの会議支援システムである」と言えます。
 


造った理由:
 
造った理由といっても、造語というよりは、なぜこんなシステムを造ったかということがポイントでしょう。
 
そもそもこのシステムの発想は、会議の進行をどうコントロールするかという解決にありました。今日でもとかく会議はだらだらし、能率を上げることが必要ですね。しかし、能率といっても、時間短縮ではありません。効率のよいしかも効果的な会議へ近づけることです。
 
そこで、会議の調整役(コーディネーター)を導入するというアイデアが浮んだのです。そう言っても、コーディネーターが上司であるとしますと、上司がいきなり口を出すと、会議の雰囲気を壊し、会議の参加者を萎縮させてしまう恐れがあります。
 
しかも、コーディネーター役は、万能選手やスパーマン的な人材が想定されました。そんな人なんて、ざらにはいません。また仮に、有能な人がいたとしても、いつもいつも会議のコーディネーター役ばかりさせられませんし、会議室の近くにいつもそんな人材がいるとは限りませんしね。
 
そこで、会議室には顔を見せず、しかし会議のポイントには、助言的情報である「メタヒント」を提供するシステムに落ち着いたのです。
 


エピソード:
 
当時の石桁研究室は経営工学科に所属し、部屋が3室あって、E号館の4階に私の個室があり、B号館の3階に研究室(これを会議室に見立てる)があり、物置だった部屋(これをコーディネーター室とする)が同じB号館の3階の隅にありました。
 
このB号館3階の2室を、同軸ケーブルで繋ぎ、双方にテレビカメラと受像機を置き、このシステムを稼動させました。その間、直線で約40mはありました。会議には、卒研生が参加しました。このB号館は老朽化したので、今は撤去されています。
 
コーディネーター室には、VTR(当時はオープンリール式)を設置し、会議の様子を録画・録音するようにし、コーディネーター役の者(卒研生の1人)が、メタヒント(画用紙に描いたもの)を、会議室に送信しました。
 
送信するメタヒントの選び方、送信のタイミング、進行役へのメッセージなどは、気の利いた卒研生が当たりました。卒研生の岡井 孝君は、なかなか機転が利く学生でした。
 


公表文献:
 
情報処理的問題解決過程の研究(4)、大阪電気通信大学 研究論集
人文・社会科学編 第13号 1977年(昭和52年)10月。
 
情報処理的問題解決過程の研究(5)、大阪電気通信大学 研究論集
人文・社会科学編 第14号 1978年(昭和53年)9月。
 
石桁正士著 情報処理的問題解決法(情報科学シリーズ10)、パワー社、
1990年2月。(この本は、私の唯一の単独著書です。)



 

FBA(フィードバック・アクション)とFFA(フィードフォワード・アクション

造語の説明:

「FBA」とは、Feed Back Action のことであり、「FFA」とは、 Feed Forward Action のことです。どちらも、アクションですから、何らかの行動を示す言葉であります。


私の造語の(13)で、「GPDCA」を説明しました。GPDCAとは、すなわち目的を意識し、目標を作り、目標達成のための計画案を作り、案にしたがって実行します。実行の各段階でチェックし、必要に応じて手直しやフォローアップという行動を行ないます。これら一連の作業を「GPDCA」と言います。


さて、実行の段階をチェックした結果を、Gに、Pに、Dに、それぞれフィードバックして、手直しや補強や場合によってはやり直しなどという行動を実施します。この行動は、正にアクションですが、考え方によっては2種類に分けることができます。それが、フィードバック・アクション(FBA)と、フィードフォワード・アクション(FFA)なのです。


では、この2つアクションがどう異なるのでしょうか、説明いたしましょう。


まず、FBAは、目標設定・計画・実行・チェックが進行中であって、その途中では、いつでもフィードバック(各段階に帰還すること)ができる時、改善のために行なうアクションのことを指しています。設定した目標の見直し、計画の修正、実施の改善、チェックのやり直しなどは、すべてフィードバック・アクションなのです。


一方、FFAは、目標設定・計画・実行・チェックなどすべてが終了してしまった段階で、最早どこへもフィードバックできない時に取るアクションを指しています。バック(後進)できない時は、人間はフォワード(前進)しかありません。


前進とは、次回に起こるであろう計画にフィードフォワードすること(先回りして準備しておくこと)なのです。FFAは正に準備のアクションです。もちろん、心の準備もあれば、情報の準備もあれば、物事の準備もあります。要するに、FFAは新たな事態への準備であります。


私は、この2種類の行動を、明確に区別することを提案したかったので、FBAとFFAを造語しました。しかし、元々、FB(フィードバック)も、FF(フィードフォワード)も、言葉としてはあったのです。それゆえ「造語」ではないことになります。そこで、アクションを付けて、新語にしたつもりです。



造った理由:

FFAのアクションを、フィードバック・アクションととして、統一的な表現としてもよかったのですが、このバックという語には、何となく「後進」や「後戻り」のイメージが付き纏いますね。私はバックよりもフォワードという言葉に魅力を感じていましたから、どうしても「前進」を採用したかったのです。


なお、制御工学を学ばれた方には、フィードバック・コントロール(FBC)の概念や、フィードフォワード・コントロール(FFC)の概念が出て来たのを憶えておられるでしょうか。私の言いたいFFAは、FFCとは異なる考え方です。


GPDC(目的設定からチェックまで)を進めて、そこで得た数々の知見(知恵やノウハウ的知識)をどこに活用するかを考えた時、フィードバックできない時は、知見を棄てるのはもったいないですよね。折角の知見を生かすためには、フィードフォワード(先回りして準備しておくこと)しかありません。



エピソード:

卒業研究生や一般の授業の受講生たちに、問題解決をやらせたり、問題解決のケーススタディをやらせたり、教科書の内容を教えたりしていた時、学んだことを今後どう生かしますか、と訊いてみたことがあります。大抵の学生は、その内に使うことがあるかもしれませんとか、その内に忘れるかもしれませんとか、とかく漠然と受け止めていたようです。


ところが、自主的学習が好きな学生や、学び方を学ぼうとしていた学生や、何かを掴もうとしていた学生や、学んだことをクラブ活動やアルバイトや家業に活用しようとしていた学生は、活用しないともったいないと感じていたようでした。


ごくごく少数の学生は、知見から、知恵を学ぼうと思い立ったようです。これは、難しい言葉で言うならば、「知識の一般化の試み」と言えます。学んだ事例から、エッセンスを抜き出し、自分だけの知見にする知的作業です。


石桁研の卒研生に、問題解決のベテランの方々からノウハウの聞き取りをさせたことがありましたが、これもノウハウの活用のための活動でした。


一般に、大学での学習では、学生にFFAを考えさせ、活用させるように強く指導はしていません。私は、もっともっとチャンスを与え、もっともっと意識させなければならないと思っています。


今の学生たちは、アルバイトでいろいろなことを体験しますが、どうも社会勉強という意識や、インターンシップという意識が乏しく、お金目当てのアルバイトです。そんな彼らは、私流に言うと、「時間の切り売り」をして、大切な時間を無駄に使い、さらに稼いだお金を使って、またまた「時間を無駄に使っている」ように思えてなりません。先回りをして、準備をしておくことはしないのかなあと、つくづく思います。


例示の表:

給料を丸々使う独身生活をしているA君とB君の行動や考え方の比較です。






公表文献:
 
情報処理的問題解決法、(情報科学シリーズ10)、パワー社、1990年2月。
 


 

案のMD計算

造語の説明:


人は目的があって、目標を達成する場合、いろいろと計画を立てて実行しますが、計画案には、価値観があり、アイデアや思いがあり、制約条件などが関わります。どの案がよいのか、どの案が実行しやすいのか、どの案が諸条件に合うのか、迷うことがありますね。「MD計算」とは、そんな時に用いるアイデアなのです。


まず「MD」とは、Merit と Demerit のことで、計画案のメリット(以下、Mと略記します)である利点と、デメリット(以下、Dと略記します)である欠点を意味します。


そして、「MD計算」とは、計画案の利点と欠点をはっきりさせるために、利点と欠点の両方の情報を収集し、それを表にすること、その情報を1項目ずつ評価し、ある規準で各項目を数値化し(採点し)、合計点数から計画案の採否を決定する作業のことです。


「MD計算の型(タイプ)」には、α型、β型、γ型の3種類があります。それぞれについて説明しましょう。


α型のMD計算とは、1つの計画案だけがあって、その案を採用するのか、採用しないかのを検討する型のことです。採用したら、どんなMとDがあるのかを検討します。採用しなかったら、どんなMとDがあるのかを検討します。検討する場合に用いる表は、2×2の4桝になります。


β型のMD計算とは、2つの計画案があって、どちらを採択するかを検討する型のことです。2つの案それぞれにMとDがあります。したがって、その場合に用いる表も、2×2の4桝になります。


γ型のMD計算とは、複数個の計画案あって、そのうちのどれか1つを採択する場合、案を検討する型のことです。仮にn個の案があったとしましょう。n>2です。それぞれの案に、MとDがありますから、その表は、n×2の2n個の桝(縦がn行、横が2列)からなる表になります。


これらの3つの型を整理してくれたのが、当時、大阪電気通信大学の大学院生であった木下真也君(現在、螢凜スティック勤務)でした。



造った理由:



メリット、デメリットは、既に流布している言葉ですね。「計算」を付けたのが新語のつもりです。しかも、MD計算の型(タイプ)には、α型、β型、γ型の3種類があることを提起しました。


この「MD計算」の使い方ですが、まず案を考え、その案の利点情報と欠点情報をできるだけ集め、リストアップし、表にします。表の情報のそれぞれを数値化して、合計点で決定する仕組みです。計画案を恣意的に決定するのではなく、情報的に評価する意味を強調して、提案したつもりです。ただ、数値化には判断者の判断基準が前提となります。



エピソード:


大学に勤めていますと、いろいろな悩みを持つ学生に出会います。3年生のK君は、工学部の情報工学科(理系)に入学したのですが、学科での勉強が、自分のやりたいこと(音楽)と異なっていることに気付き、途中で総合情報学部のメディア情報文化学科(文系)への転部・転学科を考えるようになり、私のところへ相談に来ました。


私は、その時、情報工学科の所属からメディア情報文化学科へ移籍していましたので、両方の学科の特性がよく分かっていました。そこで、K君に転部・転学科はよいことだと助言しました。その結果、K君は転部・転学科を果たし、無事、大学を卒業することができました。


このK君の転部・転学科の案を、問題解決学入門という科目を履修している学生に、「MD計算」の課題として与え、検討させてみました。もちろん、K君は既に卒業していましたし、プライバシーを尊重して、K君の個人名を出していません。



MD計算表の例:


K君を知らない後輩の学生たちに、K君に成り代わって、「転部・転学科のMD計算」をしてもらいましたが、なかなかよく検討していました。

K君の希望を最大限に尊重して、結果は「転部・転学科をする」という計画案に落ち着きました。







公表文献:

メリット・デメリット計算、NEW教育とマイコン、学習研究社、4月号、
1991年4月。

すぐに使える問題解決法入門、日刊工業新聞社、2005年3月。

 

Gを加えたPDCA

造語の説明:


「PDCA」(Plan Do Check Act)、あるいは「PDS」(Plan Do See)は、企業ではごく普通に用いられている言葉です。計画を立てて、実行して、チェックをして、見直しや修正や補強などをすることです。大切な視点のセットであると思います。さらにこの「PDCAをサイクルにして回すこと」が肝要です。


私は日頃から、このPDCAを学生にも教え、研究室や学科という組織に取り入れたいと考えてきました。研究室ではうまく機能するのに、学科や学部や大学全体ではうまく行きません。それは、PDCAを導入する前に、企業のように、組織に属する人たちが、組織の目的や組織的行動の目標をしっかりと掴んでいるから、あるいは目的や目標を掴むように訓練されているから、このPDCAが可能なのだと感じました。


大学と企業とでは、どうも条件が異なるようです。そもそも大学という組織は、命令系統があやふやで、経営的には理事長から、教育行政的には学長から、命令とも、指示とも、希望とも、お願いともつかないような形で与えられ、適当にこなしてきたようです。


今頃になって、大学ではやっとポリシー(基本方針)を定めるようになって来ました。アドミッション・ポリシー(入学者確保の基本方針)、カリキュラム・ポリシー(教育指導の基本方針)、ディプロマ・ポリシー(卒業生の質保証の基本方針)の3つがあります。しかし、まだまだ不徹底のようです。


学校法人には理事長がいます。大学には学長がいます。理事長や学長を、企業のトップのように考える人がいますが、根本的な違いは、その選び方にあります。大学では、トップの方を選挙で選ぶのです。どこの企業に、社長を社員(従業員)の選挙で選ぶ所がありますか。ないでしょう。だから、大学は、どうも企業とは違うと言いたいのです。


そこで、大学でPDCAを実践するのなら、まず教職員に、ポリシーを定め、大学の目的(存在目的、教育目的、経営目的など)を把握させ、大学の目標(どんな大学にするのか、どんな教育を実現するのかなど)を把握させて、その上でPDCAを実施するべきです。


そこで、私はこの「PDCA」の前に、1つ付け足すことを主張することにしました。それは、「Grasp Ends」、すなわち「目的・目標の把握」です。企業のように、目的目標が明確な組織体はいいのですが、大学のような組織体では、目的意識があやふやです。そんな所にこそ、私の造語の「GPDCA」が必要なのです。


造った理由:


英語の「Grasp」は、「把握すること」で、「Ends」には、「目的や目標」という意味があります。したがって、私の造語は、「GPDCA(Grasp Ends+PDCA)」となりまして、目的や目標であるEndsを、知り、理解し、受け入れ、常に意識し、責任を持って遂行することの大切さを強調しているつもりです。この「Ends」の理解なしには、PDCAはおざなりになり、したがってそのサイクルは回せません。


エピソード:


私のように、大学を出て、大学院を出て、そのまま大学の教員になった者は、企業という組織を知りません。企業体質も知りません。企業勤めの厳しさも知りません。企業文化も知りません。

ただ、教務職員(経験を積むと技官になる道がありました)、教員(助手=助教、助教授、教授)、管理職的な立場(学科主任、学部長、図書館長、センター長、大学院の専攻主任、大学院の研究科長)、法人組織の者(評議員、理事)を経験していますので、多少は私立大学という組織を見知っていると自負しています。


一方、大学には、企業から大学に移籍される方も、最近は多いと言えます。大学へ来られて、異口同音に、「大学と企業は違いますね」と言われました。「命令系統が不完全ですよ」とも言われました。「だから、企業では当たり前のPDCAが出来ないのですね」とも言われました。


これからの大学は、少子化と経済の低迷と卒業生の就職率の低下などで、いよいよ淘汰される時代を迎えることになるでしょう。大学の生き残りのために、大学としての「GPDCA」を本気でやらないと、組織はますます弱体化するでしょうね。それが心配なのです。



GPDCAの利用例:


私の提案する「GPDCA」を利用した例を示すことにしましょう。これは、私の研究室でのケースです。研究室のメンバーは、私と学部の4年生の卒業研究生と大学院生が主ですが、この他に、年度によっては客員研究員やプライベートな研究員などがいます。最も大切なことは、研究室の維持管理であり、研究室の目的の遂行であります。




公表文献:

公表した文献はありません。
2010年のやる気研究会のアーティキュレーション講座で、説明をしました。

 

システモクラシ― SYSTEMOCRACY

造語の説明:


私は、現代の社会に生活していて、「システモクラシー(SYSTEMOCRACY)」という言葉が、どうしても必要であると考え、提案するようになりました。「システム主義社会」という意味です。


戦前のような帝国主義や軍国主義ではなく、今の世の中は、正に国民主権の民主的な社会、すなわちデモクラシーの社会ですね。


そもそも、デモクラシー(DEMOCRACY)とは、民主主義や民主主義政体や民主主義社会のことで、現在、私たちはデモクラシーの社会に慣れ切っています。この言葉はデモクリトスの名前に由来しています。


これとは対照的な社会として、アリストクラシー(ARISTOCRACY)があります。それは貴族主義や貴族主義社会のことであります。この言葉はアリストテレスの名前に由来しています。歴史的には、貴族が支配する社会が存在したようです。


さて今は、言葉を自由に造る時代ですから、ディグリオクラシー(DEGREEOCRACY)というのが造られました。それは学歴主義や学歴主義社会のことであります。「DEGREE」の意味は学位のことで、学歴を意味しています。学歴主義や学閥主義(門閥や閨閥を学問の閥に言い換えて)を言っているようです。


また、メリットクラシー(MERITOCRACY)という語が造られています。それは実力主義や実力主義社会のことです。「MERIT」とは、個人の能力や長所のことで、実力を意味しています。今の世の中は、正に実力主義社会と見てよいでしょう。

学ぶということは、生きて働く力を身に付けることです。学びの目的である「能力」を、アビリティとか、コンピテンシーとか、スキルなどと言っています。最近、人間力「ジェネリック・スキル」なんていう言い方もしています。


「○○主義社会」という英語は、元々ある名詞に「OCRACY」または「CRACY」を付けたもので、「○○主義」や「○○主義社会」や「○○主義国」と訳されているようです。

現代は情報化社会を脱し、正に情報社会となり、あらゆる仕組みがコンピュータ化され、システム化されています。こうした社会は、システム主義が当たり前になっていると思います。システム主義は、システムが中心に機能する社会という意味です。それなので、私は「SYSTEM」という言葉に、「OCRACY」を付けて、「SYSTEMOCRACY システモクラシー」と語をつくり、「システム主義社会」をこう呼ぶことを提案したのです。


普通の市民が、何をするにも、システムが全面に出てきます。郵便局へ行って、送金しようとすると、身分証明書を見せるように言われます。75歳になった時、自動車運転免許証を返納しましたので、今は「住基カード(住民基本台帳カード)」を見せるようにしています。大学の身分証明書などはダメなのです。世の中、普通の生活にも、お役所のシステム(仕組み)が関わります。それはもう「システモクラシ―の社会」でしょう。


こうした言葉を厳密に定着させるには、関係する学会の検証やマスコミなどの支持を得る必要があります。そして、言葉は、意味論(セマンティックス)的にも、統語論(シンタックス)的にも、語用論(プラグマティックス)的にも、検討が加えられるべきでありましょう。

しかし、一方では、簡単に言葉が生まれる社会的素地もあります。流行語大賞などもあって、皆さん、新語には注目します。流行るかどうか私には分かりませんが、人間の性(さが)として、新語は創りたいし、主張もしたいし、使いたいのです。



造った理由:


とかく私は「造語する」のが好きです。そのために英語の辞書などを見ますと、「OCRACY」という接尾語がついた単語が、10個以上見つかりました。参考のために、いくつかご紹介しましょう。


ARISTOCRACY(貴族主義社会)
AUTOCRACY(専制主義社会)
DEGREEOCRACY(学歴主義社会)
DEMOCRACY(民主主義社会)
HIEROCRACY(僧侶政治主義社会)
ISOCRACY(権力平等主義社会)
MERITOCRACY(実力主義社会)
PLUTOCRACY(金権社会)
PLUTODEMOCRACY(資本家民主社会)
TECHNOCRACY(技術専門主義社会)
TIMOCRACY(金権政治主義社会、名誉政治)


言葉は、その時々の実態を表すように造られ、さらに新しい意味や語用法が付け加えられ、その言葉に研きがかけられるのでしょう。



エピソード:


システム主義社会の特徴を考えてみましょう。店に行っても、客が自らサービスをして、本来店側のサービスであるはずのものを受けないでいて、みなさん平気です。大学の生協の食堂では、カフェテリア方式が当たり前で、客がお盆を持ち、並べてある料理を勝手に取り、レジまで持って行き、支払いをして、それからテーブルに着いて食事をします。


ファミリー・レストランの「ドリンク・サービス」も、「ベジタブル・サービス」も、「ケーキ・サービス」も、セルフサービス・システムですね。テーブルに腰かけて、待っていても、持って来てはくれません。これが現代社会に定着しているセルフサービス・システムなのでしょう。


そもそも、客は店からサービスを受ける立場にあるのですが、いつの間にか、セルフサービスを組み込まれ、店側にサービスさせられるようなシステムになりました。こんな姿は、いつ頃定着したのでしょうか。


思い出してみますと、「スーパー・マーケット」である「SSDDS(セルフサービス・ディスカウント・デパートメント・ストア)」が出現した頃から、安ければ客は店側のサービスを自ら買って出ることに馴らされてきました。セルフサービスは、「客持ち=客側の作業」になったのです。


今は、銀行のATMなど当たり前になっていますが、ATMの前のCD(キャッシュ・ディスペンサー)の頃から、そう躾けられてきています。私たちは正にシステム主義に慣らされている生活をしています。私は、これにも気付いて欲しいと思って、この「システモクラシ―」という言葉を造りました。



公表文献:

この言葉を公表した文献はありません。
2010年のやる気研究会のアーティキュレーション講座で、公表はしました。


カタカナの頭字のワリカン教材

造語の理由:


私は長年、大学で教鞭をとってきましたが、学生たちに提供する教材で、望ましいものは「ワリカン」であったと考えています。「ワ」は「話題性のあるもの」、「リ」は「理解しやすいもの」、「カン」は「感じのよいもの」です。3つを説明いたしましょう。


「話題性のよいもの」とは、学生たちが私の講義を聞いて、その内容を友だちや家族などに話したくなるものです。トレンディなものもよろしいでしょう。視野を広げるものもよろしいでしょう。珍しいものもよろしいでしょう。成功談よりも失敗談の方がよかったと思っています。


次に、「理解しやすいもの」とは、学生たちが持っている経験や体験や基礎知識や知恵などにマッチしたものがよろしいのです。イメージし易いものがよろしいでしょう。理解は、理解した者の理解のプロセスが伴うものがよろしいでしょう。当然、私がまだ理解していなかった時から始まって、理解へ到達した時までのプロトコル(思考過程の記述)を披瀝することにしました。


最後の「感じのよいもの」とは、心が暖かくなるものがよろしいでしょう。万人が認める価値観が意識できるものもよろしいでしょう。身近にあって外連(けれん)味のない素材もよろしいでしょう。下品なもの(下ネタ)や自慢話は嫌われますから注意です。



造った理由:


「歩寝楽(ほねらく)」は、よく歩け、よく寝よ、よく楽しめで、これは生活の三原則ですね。そう考えますと、「歩見探(ほみたん)」もありますね。これは、よく歩け、よく見よ、よく探せで、これは現場主義の原則ですね。「報連相(ほうれんそう)」もそうですね。


よし私も作ってみてやれとなって、「話理感(ワリカン)」を作ってしまいました。「話題性、理解のしやすさ、感じのよさ」でした。とかく真似ることを楽しまなくちゃ。


世の中には、うまい言い方であれば、人口に膾炙するのです。人々に、長く言い続けられるのです。あやかりたいと思っています。


エピソード:


「いい言葉」を見つけるために、教室で、また研究室で、ブレーン・ストーミングをしましたが、いろいろな話題や言葉が出てきました。


俳句の「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」なども思い出されました。視覚情報の青葉、聴覚情報のほととぎすの声。味覚情報の鰹。うまく纏めたものですね。「菜の花や 月は東に 日は西に」も、菜の花で「地球」を詠み、東を向いて「月」を詠み、西を向いて「太陽」を詠んでいます。うなりますね。


和歌には「ふたつ文字 牛のつの文字 すぐな文字 ゆがみ文字とぞ 君はおぼゆる」などがあり、「こいしく あなた(父君)を思っている」と、解説にありました。平仮名の「こ」をふたつ文字と見て、「い」を牛の角と見て、「し」を真っ直ぐな文字と見て、「く」をゆがんだ文字と見るなんて、素晴らしい着眼と思いました。


女性が好きな「芝居(しばい)、蒟蒻(こんにゃく)、芋(いも)、蛸(たこ)、南京(なんきん)」なんかも、実にうまく作られています。


教育工学の指導をしてくださった宮脇一男先生は、食いはぐれのない就職先として、「衣食住」と、「医教楽」を言われました。「衣は繊維産業や服飾業界」、「食は食糧や食品加工産界」、「住は住宅産業や建設業」ですね。「医は健康産業や医療機器業界」、「教は教育産業」、「楽はレジャー産業」でした。「医教楽」も随分と使わせていただきました。



公表文献:

残念ながら、「ワリカン(話理感)」について公表した文献はありません。


 

カタカナの頭字のオイダセアクマ

造語の説明:

今から30年も前でありましたか、確かバブルの前でした。職場での考え方、仕事の心得、人生の生き方など、研究室で話題にしていた頃がありました。

卒業予定の学生の誰かが就職面接に行って、会社の方から、「おいあくま」を聞いてきて、報告してくれました。「おい悪魔」という言い方であったかもしれませんが、面白いと思いました。そこで私も真似をしたくなりました。

私は、「おいだせあくま」を考えました。私の場合は「追い出せ悪魔」のつもりで、「オ」、「イ」、「ダ」、「セ」、「ア」、「ク」、「マ」を頭字にした自戒の言葉のつもりで、2種類作りました。

部下を持つ社会人編

「オ」・・・新しい仕事を恐れるな。
「イ」・・・部下のミスに怒るな。そして苛立つな。
「ダ」・・・客を騙すな。部下をだらけさすな。
「セ」・・・仕事を無暗に急かせるな。
「ア」・・・出世を焦るな。
「ク」・・・不遇に腐るな。
「マ」・・・自分に負けるな。

学生、新入社員編

「オ」・・・勉強を怠るな。
「イ」・・・先輩の強さにいじけるな。
「ダ」・・・毎日をだらけるな。
「セ」・・・上司や先輩の指導力の不足を責めるな。
「ア」・・・正しいと思う仕事を諦めるな。
「ク」・・・小さなミスにくよくよするな。
「マ」・・・小さく纏まるな。


造った理由:

私は完全な真似からスタートしました。真似から学ぶのです。よい言葉を集めたり、よい言い方を知ったりすることは、実に楽しい学びです。

私は、今も、面白い言葉、知って楽しい言葉、人に話したくなる言葉を掻き集めて、京大式カード(B5判の大きさで、L!FE J850)を使って書き留めています。カードは、間もなく500枚になりそうです。


エピソード:

定年になって、既に7年目に入っています。毎週3日、月、水、金と、大学に出て、ボランティアで研究指導をしています。今の学生たちを観察していて気付いたことは、とかくコミュニケーション力が乏しいと思います。口数が少なく、話題も少なく、話が続きません。話題としての頭字集は、重宝だと自画自賛しています。


公表文献:

やる気の仕事学、日刊工業新聞社、2008年12月20日。

 

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講師のご紹介 【向塾】

大和 可也
(やまと かや)

1944年生まれ。高知県出身。
早稲田大学文学部卒。
教育プロデューサー。

大学卒業後1969年〜1987年 (株)学習研究社勤務。 独立後、メディアプロデューサーとして活躍。
その後、大学講座演出、プロデュースを手掛ける。

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相澤 将之
(あいざわ まさゆき)

1942年生まれ。東京都出身。
法政大学経営学部卒。
元東京リコー社長。

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石桁 正士
(いしけた ただし)

1936年生まれ。和歌山県出身。
和歌山大学学芸学部(現教育学部)卒業。(教育学士)
大阪市立大学大学院工学研究科修了。(工学博士)

京都大学、大阪大学を経て1970年に大阪電気通信大学助教授に就任。その後教授を経て2007年名誉教授となる。
やる気研究会の主宰や情報教育学研究会(IEC)の発起人として活躍し、現在大阪電気通信大学の客員研究員として教育の研究に従事。

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